その先へ
「自立するということは一人でなんでもできることではない」
先日アトリエでとても興味深いお話しを聞きました。
冒頭の言葉はデザイナーの山内さんからお聞きした言葉です。
本質はその言葉にぎゅっと詰まっていますし、これまでも少し耳にしたことがあったかもしれません。
ただ今回はハッとするような気づきと深い納得を持ってこれまで以上に心に残ったため、そんな気づきのお話をしようと思います。
今の世の中は以前と比べると各々が自分の生き方を見据え、そこに目標を設定して行動している方が多いのではと思います。
誰にも縛られずに自分自身で生き方を選択する、フリーランスを志す方が多いのもそのような憧れがあることも一因であると思います。
自分もそのような生き方に憧れがありますし、そのため最終的なゴールは自分一人で完結できる方法を見つけ出すことが自立だと考えていました。
しかしここで考えなければならないことがあります。
それは日本人なら無意識に持っている「弱点を克服する」という意識です。
少し話がそれますが、自らの成長を望むとき自分の弱点を克服することに努める人は少なくないはずです。
これは日本人が持つ勤勉な性格とその慎ましさからくるものであると考えます。
これまでのことを思い返してみても、共通の知識を全員が学ぶ座学が学びの多くを占めることからも、特に学生の間は苦手を克服し満遍なく出来るようになることが求められてきたように思います。
一方で実践的で放任的な授業は能動的な姿勢を求められる授業が多い中で自ずと自主性が求められ、結果それは自分の得意を存分に発揮することにつながります。
好きなことだけやっているようにも見えますが、その中で最も効率よく質の高いものを作るためには、それぞれの得意を合わせることが必要であることを実感していると思います。
そして最終的な成果物へ結び付けること、企画に責任を持つこと、そしてそれを達成するためのメンバーと関係を構築すること、それら全てを無意識のうちに身につけていくのだと思います。
もちろん全てがそういう訳ではないと思いますし、そのどちらが正しいか結論を出したい訳ではありません。
ただ、そこには明確な違いがあるように思います。
それらを踏まえた上で話を戻すと何かをやり遂げるため自立している人というのは、情報や人に頼ることに長けておりその選択肢を多く持つ人だと思います。
そしてそのためにはまず自分自身でとことん行動し、その上で頼ることのできる人間関係を日頃から構築していくことが必要となります。
そもそも目指しているものが変わってくるため、
個人で完結できるやり方とは達成できるものの規模感に大きな違いがあるように思います。
そしてそのもう一歩先、
規模感を超えたところに連携して物事を進める意味があるように思います。
元を辿れば人は自分が満たされたいためにその足りない箇所を補うため、自分のやりたいことをやるのだと思います。
そのため自立するということは一人でなんでもできることであると考えていました。
しかし自分のやりたいことのイメージをさらに大きく広げていくと必ずどこかでその目的は自分だけでなく、誰かのためということにつながってきます。
自分は誰かの足りないところを補うことで満たされている、そうなってくると自分の足りないところを補ってくれるのは、自分でない誰かなのではないでしょうか。
そこに本当の意味で気づき感謝すること、
それを他の人に伝えることで初めて自分のやりたいことが動き出し、
最終的には自分を満たしてくれるのだと私は思います。
山内では現在製作に携わっていただいている方々からいつも山内を支えてくださっているお客様までを含めた
「チーム山内」というテーマでイベントを行っています。
普段あまり接することのない作り手の方とお客様に着目したイベントとなっており、
最終的にはお互いがその存在に気づきそこに新たなつながりが生まれる、
今まで一方通行の直線的な関係がつながることで一つの輪になる、
そのような新しいコミュニティを生み出すきっかけとなればと考えております。
今回のイベントは6/4(日)まで山内ギャラリーショップにて開催しています。
「新しいコミュニティを生み出すきっかけ」となる仕掛けもご用意しておりますので、
今回のイベントのアイテムだけでなくその取り組み自体にも興味を持っていただける方がお越しいただけることを、
チーム山内の一員として楽しみにお待ちしております。
作 / 倉員