変化すること、しないこと。
以前書いた「モノをつくるということ。」というblogでもお話ししましたが、
思い描いたこととそれを現実に落とし込むことには大きなギャップが存在します。
そこを少しずつ繋いでいくことでモノは出来上がっていきます。
機屋さんや縫製者さんといった人の繋がりの中でモノを作る。
そんな洋服作りを行っている山内のアトリエではやはり日々様々なことが起こります。
日々変化する状況に揉まれながら洋服を作っていく。
その状況に飲み込まれそうになったとき、
デザイナーの山内さんからあるアドバイスをいただきました。
「イレギュラーなことに対応できるようレギュラーなことを持つ」
例えば行動一つを取ってみても毎日同じ時間に決まった方法で行うことで、
そこに余計な時間やエネルギーを取ることを免れます。
同じ行動においてもそこが常に変動する状態であれば、
イレギュラーなことが発生した際にその行動も含めて全てが崩れてしまいます。
レギュラーなことをそつなくこなし常に崩れることのない軸を持つ。
そうすることでいざという時に集中して全力を注ぐことができます。
しかし同時にこの軸を作ることもなんとなくではできません。
この一本軸を持って変化しないこと、
一見シンプルに見えますが日々変わりゆく状況下において、
それを実現するには非常に強い意志の力が必要になってきます。
長くお取引ののある機屋さんの中でも、
意識的に同じものを作り続けている機屋さんもあります。
その機屋さん曰く世の中の状況が変わりゆく中で同じクオリティのものを出し続けること、
それを次の世代に受け継いでいうことは新しいものを生み出すこと以上に大変な場合もあるそうです。
話は戻りますが「イレギュラーなことに対応できるようレギュラーなことを持つ」という言葉は、
非常に山内というブランドらしさが表れているように思います。
流行によって動かされるこの業界において、
毎シーズン全く新しいものを提案することが求められます。
しかしそれであるからこそ変わらないものの価値の需要はあるのではないでしょうか。
服と流行はほとんど同義であるように語られますが、
毎回異なるものを身につけて変化を楽しむことだけが服の全てではないように感じます。
新たな一歩を踏み出すとき。
自分の原点に立ち帰るとき。
そういった際にも必ず必要な服があります。
「哲学を着る」ような山内の服。
季節も移り変わり慌ただしい毎日の中で、
一つの軸となるような一着をお探しの皆様には、
是非一度袖を通していただけましたらと思います。
近頃グッと冷え込みいよいよ秋冬シーズンが始まりますね。
ギャラリーではちょうどこれからご着用いただけるアイテムを多数取り揃えておりますので、
是非今シーズンの山内の服をご覧いただけましたらと思います。
作 / 倉員