「山内の歴史」アーカイブ展と、今思う事。
こんにちは、山内知美です。
にぎやかな蝉の鳴き声と共に、世の中では夏休みが始まりましたね。
ギャラリーショップでは8月6日(土)から15日(月)まで、これまでの14年間を振り返って、「山内の歴史」アーカイブ展を行います。
前ブランドである【yamoci】〜漢字表記に変わった【山内】のアイテムまで、タイムスリップしたような気持ちで、デザイナーがこれまで手掛けてきた過去のコレクションを “ずらり” とご覧いただける機会です。
・・・なぜ、「山内」というブランドができたのか。
・・・なぜ、「縫製」にこだわるのか。
・・・なぜ、「削ぎ落とされたデザイン」なのか。
・・・なぜ、「洋服」なのか。
気にはなっていた「山内」の、"あれこれ" をお見せ致します。
こちらのギャラリースペースは結婚を期にショールームとして作った場所で、元々はデザイナーが1人ミシン1台から、地道にモノ作りを始めた場所でもあります。
アーカイブの展示をご覧いただきながら、これまでの歩みを感じ、山内の「哲学」を紐解いて、「こんな仕様にしていたの!?」と楽しんでいただたらと思います。
一部、サンプル販売を含みます。
セールを行わないブランドですが、期間中はサンプル(展示品)を、特別価格にて販売致します。
まだ山内を知らないという方も、だいぶ知っているという方も、是非この機会にお立ち寄りいただけたらと思います。
モノ作りが好きなデザイナーに、ブランド名を変更しようという衝撃を与えてくださった、縫製の"神"と呼ばれる凄腕縫製師の方との、夢の対談が実現しました。
技術者としてだけでなく、人生論にも通ずるいいお話を伺うことができましたので、是非とも本編と合わせてご覧いただけたらと思います。
二人のお人柄が感じられる、和やかな対談となっています。
本編は、YouTube「山内 gallery shop」公式チャンネルより、近日公開予定です。
チャンネル登録をしていただくと、更新した動画をいち早くご覧いただける機能ですので、利用される際にはご活用ください。
いつもと違った角度から「山内」の洋服をご覧いただき、新たな発見をする楽しさと、また今後の色々とも向き合うことのできる有意義な場となれたらなぁ・・と思っています。
現在、移転先となる新社屋では、大々的に改装工事が始まっています。
それに伴い、年内には新店舗へお引っ越しです。
何度も現地に足を運び、色々思い返すことがあります。
今のお店を作ろうと手を入れた時期は、冬でした。
雪で何度も工事が中断となり、オープンは半年後となる夏の終わり。
その間に籍を入れたあの頃が懐かしく、自分たちでペンキを塗ったり、来る日も来る日もすぐに生えてくる草と人間との戦いが繰り広げられたり、あまりにも丁寧に掃除して準備が全く進まず、当時の美にストイックな縫製スタッフに愚痴がこぼれたりもしながら、本当に完成するのかと落胆していました...(笑)
7年前、気づけばアトリエの室長だった私を、今日からギャラリーの担当だ。と言い渡され、何が正解かわからぬまま、とにかく緊張してソワソワしていたことを今でも覚えています。
私が山内の顔としてここに立っていていいのか・・と、本気で考え悩んだ5万2千時間もの間に、本当の自分を見つめ直すことができました。
山内の洋服を生み出す過程においても、目線を上げること、ちゃんとすること、何事もコツコツ積み重ねること、次の人がやりやすいかどうか気を配ること、周りが腐っても腐らないこと。。
利害で動いたり、心の健康が保ちにくい今の時代において、なかなか教えてはもらいにくいであろう内面の芯の強さみたいなものを、涓滴岩を穿つ(=けんてきいわをうがつ)そのもの。丁寧にじっくりと時間をかけながら見守り、本人お得意の「忍耐」で "人間力" というものの大切さを無言で教えてくれました。
これもデザイナーの愛情深さのお陰だと思います。
これから進むべき道を正しく示してくれた『山内の哲学』は、私の人生において、何よりも一生の宝です。
こんなに悩んで、こんなに思いやりのある心に触れられた今、これまでの15年間、この場所で培ってきた思いを、いつも周りのために自分をすり減らしながらボロボロになっていく姿の本人に変わって、「未だに伝わらないメッセージ」を、代弁して伝えられたらな。・・なんてロマンチストの発想かもしれませんが、そんな今だからこそ、いろんな意味で一新するタイミングなのでしょうか。
今年仲間入りしたアトリエスタッフも、すごい勢いで成長してくれ、心強い存在です。
組織としての「山内」も、これまでの経験をバネに、新たなスタートが切れたらな・・と感じています。
作 / 山内 知美