新型オリジナルBAGの製作を通じて。
こんにちは、知美です。
大変ご好評をいただいておりますこちらのBAG製作の裏側を、イベント終盤のタイミングではありますが、ここで少しお伝えしようと思います。
私達は洋服屋ですから、洋服が命です。
また、「山内」というブランドはモノ作りを得意としています。
新作コレクションの製作も、アトリエ内で "0" からイメージを湧かせます。
洋服のデザインを邪魔しないBAGを作ろうと、デザインを考え、生地を決め、設計方法を練り、型紙を起こし、プロットタイプを縫製して作る訳です。
いわゆる赤ちゃんの状態。
そこからどう仕上げるのか、どう生かすのか、完成度を高めていきます。
形にするまでの工程は洋服と同じ。
でも本人は、他の事をするから自分たちの事がわかると言います。
もの作り集団が一番【苦手】なこと、それは小売部門であり、接客業やサービスの事を知らないが故に疎かになる。
使っていただく、買っていただくお客様のお顔が浮かばないから当然トンチンカンです。
ただ、アトリエ横にギャラリーショップを併設した事で、当初はショールームというイメージでのスタートでしたが、どんなお客様が何を思ってこの洋服に興味を持っていただいたのか、直接お話を伺う機会が持てました。
違う畑だから勉強になる。
おそらくそんなところではないでしょうか。
弊社ギャラリーショップで販売を行う事で、自分たちの強みを再確認し、モノ作りに集中して打ち込める。
今回はそれが「BAG」であったと思うのです。
オリジナルシューズバッグの試作風景です。
我らにとっては形が違うだけの光景ではあるのですが、頭の思考が異なります。
洋服を作る前提での仕様であったり、布帛縫いであろう手順で物事を考えている姿が、すっかり洋服屋。
出来上がった鞄と服がギャラリーに並ぶと、洋服の迫力を思い知ります。
私たちが一番【得意】なのは洋服作り。
遠回りをすることでわかることもあるし、真逆からアイデアをもらう事もある。
ブランドとしては16年程経過する中で、苦手分野であったりタブーを幾度と突破する姿勢こそ「山内」の在り方なのかなぁとも思うのです。
最近では綺麗一辺倒ではないクリエーションにシフトしている印象を個人的には感じています。
シンプルだけどアクがある。さらっと見えて癖のある洋服。
日本の伝統工芸士の方であったり、山奥の神聖なる泥を掘り起こした秘密の場所など、各地の色々な産地や特殊技術をたくさん見せていただきました。
底力を感じる場面と、今の時代の流れに葛藤する事と、常に悩みが尽きることはありませんが、皆さんが本質に目を向けようとされる些細な意識こそが、未来を変えるのだと私は変わらず信じております。
山内の洋服はいつも言葉を発しませんが、その橋渡しとしての通訳者になれたらなぁと、ここに居るといつも背筋が伸びる思いです。
デザイナーはまた新たな問題に目を向けています。
なかなか職人気質な本人から、直接的なメッセージが発せられる機会が減ってはいますが、また対談動画などで空気感が伝わればいいなと思っています。
忘れてはならないのが、歴代のコレクションにおいて「山内」をお取り扱いいただいているセレクトショップのオーナー様、スタッフの皆様、これまでプロ目線で厳しいお言葉をいただき、ギャラリーで直販を経験してこそわかる事があります。
より、ブランドとして力強く、さらに勉強する姿勢を持ち、信念に向かってより進んで行けたらなと感じています。
元々yamociのサンプル製作でヘルプをするために初めて訪れましたが、それからメンズファッションの面白さ、また皆さんの思考というものに新たな発見が多々ありました。
「哲学を着る」・・そんな言葉が似合うメンズ服が、日本に留まらず世界へ発信できる時を楽しみにしながら、研究を重ねていけたらと思っています。
この周年記念イベントで、沢山の方とお話させていただき、お久しぶりの方ともお会いできて、いろんな事が早く形になるといいなと胸が熱くなったところです。
我々は生かされています。
今後も皆さんと一緒に、良き方向へ歩んでいけましたら嬉しく思います。
今季も新たな地域でご覧いただけるようになりました。
富山にあるINFACESさん、大阪にある3CMAさん、佐賀にあるreggioさん。
まだ出会っていない方との新たな出会いも楽しみにしています。
作 / 山内 知美