温もりの感じられる洋服作り。
こんにちは、伊藤です。
私は、主に生産管理をやらせていただいています。
各専門分野の職人たちが、ミクロの世界で目視ではわからない単位でこだわり抜いている洋服の、更なる仕上げとなる顔。
それが《まとめ》という作業になります。
山内では、梨地織のネームタグは量産品も全て一個ずつ手付けで行っております。
既に洋服の形は出来上がっていると思われるでしょうが、この最後の一段階で、全体の良し悪しが変わってしまうくらい、表情が変化します。
人間で言うと、髪型のセットに近いのかも知れません。
山内らしい、“キリリ”とした表情になるよう、魂を吹き込む、まさに緊張の一瞬なのです。
それはネームだけでなく、ボタン付けにも言えます。
ボタンは糸で付けられていれば、もちろん機能しますが、それだけではいけません。
洋服は纏うものですが、身体に纏った時に、感じよく、美しく、さらに品格がなければ合格とは呼べないのです。
デザイナーはいつも、クオリティーについて、『品質+耐久性+実用性+美しさ』の基準が満たされているかどうか、今一度問いかけるのだと言います。
どれほど美しくても、芸術的でも、脆くては山内クオリティーに達することが出来ないからです。
納得のいくもの作りは、道のりが長く険しいものです。
これから先も長く愛用していただけるよう、温もりの感じられる洋服を、一着一着、心を込めて作り続けていきたいと思っています。
作 / 伊藤