秋冬物納品始まりました。
こんにちは、知美です。
秋は過ごしやすいなぁと思っていたら、急に冷え込み出しました。
気がつけば秋も終わりです。
今回は秋冬物と春先物を同時に新作発表した事もあり、アパレルでは時期的にかなり遅めですが、今月からセレクトショップさんへ納品ラッシュとなります。
山内のデザイナーは昔から縫製が大好きな人なので、私達の作る洋服には1着ずつ「縫製者タグ」を付けたりしている訳ですが、作る過程は『縫製』だけではありません。
あまり知られていないと思いますが、裁断士も居ます。
生地を切ってしまう裁断という行程では、やり直しが出来ず、失敗が許されません。
また、生地を作ってくださる機屋さんは、1メートル足りなくなったから追加で織ってください。と言われても、織機の構造上、少量を織る事が出来ません。
また、染め屋さんは思った色が出せなかったとしても、リセットボタンなどありません。
このあいだの糸が欲しい。と思っても、天然物のため、毎回質が変わってしまいます。
三歩進んで二歩下がる。
なかなか物づくりは一気に進む事が難しいものです。
こつこつ。こつこつ。
現代人が無くしつつある忍耐力が試されます。
私は山内に入り、精神が鍛えられた・・・いや、鍛錬するためにこの環境を選んだと言ってもいいくらい。毎日が学びであり、修行であります。
「大変だからいい。」と黙々作業する師匠の後ろ姿はたくましく、その存在を恐怖に感じる事すらありました。
ただ今は、“優しい人” としか思いません。
日本人なんだから、思いやりの心を大切にしたい。と、アトリエ内のルールを決める際にも、次の人がやりやすい様に考える。という大きなテーマが掲げられたりしていました。
私も母になり、人を操作できるものではないと常々思います。
人の心を動かせる人になる事。
山内の洋服を通じて、何か考えが変わったり、気持ちが動いたり、我々の生活に身近な「衣服」からも、そんな力が発揮されたらいいなぁという思いを込めて製作しています。
どうしても手間をかけると時間がとられてしまいます。
事前予約をして楽しみに待ってくださっている方のお顔を思い浮かべながら、まだ冬が来ないでと心で叫びたい気持ちです。
寒さをしのぐためだけの服ではない、すこしアート作品の様な、飾っておきたくなる服。
そういう「服」を超えたパワーを信じて。
洋服を手にする機会がありましたら、その奥に隠された何か・・・・何も感じないかも知れませんが、会話する時間を少しだけ設けていただけたら幸せに思います。
作 / 山内 知