3分の尊さ。
こんにちは、山内知美です。
前々から念願だった「アーカイブ展」も幕を閉じ、一人で燃え尽き症候群のような気持ちになっていた私ですが、アトリエではサンプル製作が行われています。
今年は秋冬物量産の出来上がりも早く、検品〜出荷までの作業と、新作のゼロから生み出すクリエーションに至るまで、内部では慌ただしくもマルチに動いている日々です。
そういえば、こちらのブログではまだ参加しておりませんでしたが、その道45年のベテランパタンナーさんがアトリエチームに加わった事で、ぐんっと安定感が増しました。
ブログも交代制で担当していますが、新たに追加されたのが、『朝の3分間スピーチ』です。
全員が作り手出身なため、伝える練習としてデザイナーが提案し、いつからか始まりました。
私にとっても試練です。
掃除をしていたり、作業をしていたり、子供と一緒に過ごしていたりする感覚とは別物。
3分で伝える難しさは、タイマーで時間を計りながら話したことで、初めて知りました。
いつもギャラリーでは、共通の趣味に近い感覚で、つい盛り上がってしまうことが多く、この訓練の必要性を重々感じています。
私の場合、伝えたいことが大きく膨らみがちです。
3分以内という制約を気にしすぎると、話す前から話題への意識がコンパクトになり、聞き手の興味も薄くなりかねませんし、敏腕営業マンだったら、3分で人の心を動かせるのかも知れません。
毎日「3分」という時間を気にする様になって、それから3分の尊さを感じるようになりました。
現代人は忙しい生き物なので、無駄やロスを嫌います。
相手にとって響かない内容だった場合には、完全に「嫌われる事」=「嫌がらせ」をしている事と同じなんだと気付かされました。
無意識でいると、あっという間に過ぎてしまう時間だけれど、そこを意識して美しく【3分】という短い旅を上手に操縦できる魔法使いになれたらな・・と、思いながら、毎回収まらず消化不良を起こしている最中です。
山内では、「作るだけ」・「売るだけ」ではいけない。と、いつも言われます。
売る人の大変さを知らないといけない。頑張って売ってくれる人がいて、新たに資材が買えること。
どんなに一生懸命に作っても、買ってくれる人がいなければ成立しないこと。
チーム山内では「思いやり」を大切にしています。
みんなの気持ちがわかっていつでも助け合えるチーム。これがデザイナーが理想とするチームです。
効率だけを考えれば、丸縫いよりライン縫いだろうし、人件費は発展途上国の方が安いし、売る人は売る事に専念した方が集中できる。社内でも明確なルールやマニュアルを設けた方が楽。どれも考えればわかることですが、それを好みません。
人間は怠け者なので、楽をする方法は教わらなくても勝手にできてしまいます。
後先考えずに動くのは動物と同じです。ただ、いつの時代も歴史は繰り返す・・・。
だからこそ、いつも難題で大変で複雑な方へ。誰もやりたがらないリスクのある事にも挑戦していくのだと思っています。
「山内」 2023 spring / summer new collectionは、9月末に発表となります。
今回はブランドとして久しぶりの東京展を中目黒で開催し、長年行ってきた全国巡業に終止符を打とうとしています。
メンバーが着々と増える中で、アトリエが狭く感じ、移転先の完成が待ち遠しく感じながら、過去最高のコレクションを作り上げようと力を合わせているところです。
アーカイブ展をご覧いただいた方は新たな発見があったり、「おっ!」という表現に驚かされたりする事と思います。
23s/sは「山内」に、新しい風が吹きます。
是非、新作発表にご期待いただけたらと思います。
作 / 山内 知