デザイナーになる服

 

服に対する好みや思いは人それぞれであると思いますが、

今回私が目指す服について少しお話しさせていただけたらと思います。

 

私が目指す服というのは、

「デザイナーになる服」です。

 

「デザイナーになる服」とはその名の通り自分がその服作りに携わった一員である、

という自負を着る人に抱かせる服です。

 

服というものは購入するものという認識が一般的であり、

ある意味かなり客観的な目線で見られているように感じます。

そのためブランドやデザイン・その時の時勢の流れといった、

見た目や情報によって判断されることが多いように思われます。

しかし服を着る人は完全に服の製作の過程から切り離されているのでしょうか。

 

 

服作りというのは形になった時点で終わりではないように思います。

 

 

服というものは着る行為によって完成するものであり、

その着こなしや手入れの仕方によって如何様にも変化します。

その服が購入されるまでの過程は我々山内のメンバーや縫製の方達が、

購入されてからその先は着用される方が形作っていくのだと私は考えます。

 

作りの目線に立って服を見てみるとその価値観がより深いところで見えてきます。

その服にはどのような生地が使われどこで作られてきたのかなど、

その背景まで読み解くことができれば服はより魅力的なものとなります。

 

その魅力に気付いて服を「使う」のではなく「作っていく」そう認識されたとき、

作り手(着用者を含む)にとっても服にとってもそれは本当に幸せなことであると思います。

 

更に一度その考えに辿り着けば服に関わらず全てのものに対して、

客観的な立場からでなく主観的な立場から見ることができます。

 

大袈裟でなく私は服にその力があると思いそのような服をこれからも目指していきたいと思っています。

 

山内の一員となってはや3ヶ月ですが、

山内のお客様にはそのように服を見ていただいている方が多いように感じ、

改めて服の持つ力を実感しています。

 

これからも山内の一員としてそのような力のある物作りを行っていきたいと思います。

 

 

作 / 倉員