ブランドのイメージカラーと山内の今後。

 

こんにちは、知美です。

今年は暖冬で2月には春の予感を感じながらも、3月に入ると想像以上に寒戻りが厳しく「え??」っと、カレンダーを見ながら戸惑っている方も多いのではないでしょうか。

毎年気候も正確には読めませんが、山内の動きもまた読めません。

 

既にご存知の方もみえると思いますが、2024春夏の新作ラインナップと共に、ブランドのイメージカラーが予告なく発表された今季のコレクション。

 
  【 charcoal navy = チャコールネイビー 】


素材によって見える色や質感が異なる具合、また季節が変わると違ってくるくらい染色でも揺れる色。

モノ作りを得意とする 「山内」 が、完璧を追い求めても難しく、だからモノ作りは面白い。と、どんな時もデザイナーは話します。

正解が見つからないからといって諦める訳ではなく、その厚い壁を前に長い道のりを経ながら、関わる方との人間関係を深め、徐々に精度を上げつつ今日も向かっていこうとする姿勢が、この色とどこか重なるのかも知れません。

"グレーがかったネイビー"

一見わかりにくいお色目ですが、気になるカラーです。



今季はyc41=塩縮シャツやyc55=フリーカットポンチTシャツなどの人気アイテムにも新色として展開があります。

新作が9割を超える山内にとって、唯一の継続型となる山内クラシック品番の中で、ブランドカラーが初登場となっております。

 

せっかくなら、真っ白い壁に囲まれ、色温度の調整された美術館同様の照明を設けた弊社ギャラリーにて、全品番並んだ姿をご自身の肉眼で見て、色味の違いや素材感、絶妙なニュアンスなどを楽しんでご覧いただけたらと思います。

 

 

また、新社屋の工事もかなり進み、ピッカピカなアトリエフロアには、早くも特殊ミシン等の機材を早く運び入れたいくらいワクワクする空間です。

世の中的には "裏方" という位置付けになるかと思いますが、やはり山内らしく、中心部となる明るい作業場で、閉鎖的な印象のない抜けた設計となっており、洋服が出来上がるまでが一連として見渡せる自社工場として、製品の生産部門を担います。

 

これまでショールームの役割と販売可能なショップスペースを兼任していたギャラリーショップですが、新店舗では別フロアに分かれ、それぞれが機能する形へと変化します。

完成した暁には、ブランドの意気込みや今後のビジョンが伝わる事と思います。

 

しかしながら、デザイナーは多くを語りません。

私は長年、本人の通訳者として毎日同じ空気を感じ共にし、僅かなヒントとなり得る欠片を探し集めてきました。

 

そろそろ、違った方向性からもお伝えできればと考えているところです。

今回のコレクションでは、個人的に異例な動きをとったシーズンとなりました。

 

新たな思考が芽吹いたり、見えなかったものがうっすらと輪郭を現したり、現場を離れたから気付けた大きな発見に出会いました。

内部で掲げる「誠実・品格」という理念に基づき、日本人らしい心を持って、今後も歩み続けたいと思っております。

 

正統派に見えて、どこか読めない「山内」らしいブランドカラーを保ちながら、満ち溢れる愛情をたんまりと濯ぎ、大きな木へ育てていきたいと感じています。

それには大地の栄養となる関係者、天の恵みとなるお客様、どちらも必要不可欠です。

 

 

現在、ギャラリーショップでは春夏物の商品が出来上がり、全ラインナップずらりと並んでいる訳ですが、隣のアトリエでは、24-25awの本生産となる量産の段取りを進め、各県で各々の持ち場を進行していただくため新たなラインが動き出し、また、来季25ssコレクションの企画・開発もスタートを切りました。

立ち止まるタイミングはなく、いつも同時進行です。

 

新社屋へのお引っ越しも、新たな "大プロジェクト" として、2年前から仕込んでいる事柄で、手がけた事に対して周りの反応はいつも遅れてやってきます。

私達は「何か」がお披露目となるその時には、既に過去のものとしてその先へ向かっています。

 

是非とも洋服の仕上がりだけでなく、ブランドの今後の動向、そして隠されたメッセージも含めて楽しみにしていただけましたら嬉しく思います。

 

 

 

 作 / 山内 知