旅の本質
山内の一員となって早くも一年が経とうとしています。
この一年振り返ってみると一日一日は試行錯誤した日の連続にも関わらず、あっという間に過ぎていったように感じます。
似たような感覚を味わったことがあります。
数年前海外で過ごした時間がとても似ているように感じました。
一日一日はとても密度が濃いものにも関わらず、あっという間に過ぎ去っていく、海外で過ごした日々はそんな時間でした。
人生で初めて。
たった一回の海外。
その時の経験が多少なりとも今の自分の中に流れているのを感じます。
前置きが長くなってしまいましたが、今回は「旅」について自分の考えを書こうと思います。
以前「健康な身体」「好奇心」「時間」「お金」があれば旅は旅らしくなる
という内容を本で目にしたことがありました。
確かにと納得する一方それでは果たして観光のような旅らしいものと旅は何が違うのか、という疑問も湧いてきました。
自分の実感としても旅と旅らしいものの間には確かに微妙な違いがあるように思います。
そしてその違いがあるからこそ時折旅が恋しくなることがあります。
この違いというのは普段の生活からポロッと抜け落ちた非日常を感じることであると思います。
観光は普段の生活圏から遠く離れた場所で過ごすためいつもと違う気分になり楽しむものであると思います。
とても非日常を感じることに近い行動ではありますが、逆にこれは普段の生活との対比があってこそであり、ある意味とても日常的であるように思います。
逆に遠くに行かずとも毎日の生活の中で突然違和感を感じる時があります。
いくら日常に近いところにいてもそのような微妙な違和感こそが非日常であると思います。
これは必ずしも楽しいだけのものではなく、時に落ち着かずストレスになることもあります。
しかし旅をしているときは大なり小なり常にこのような心理状態にあります。
旅というとどこへ行くかが重要になってくるように思いますが、本来外的な要因はたいして重要ではないように思います。
重要になってくるのは「何を感じたか」「何を考えたか」ということであり、ある種とても内面的な要素が強いように思います。
自分の経験を思い返してみると確かに新たな場所へ行くことはその場所から多くの影響を受けました。
しかしその影響を受け取れば受け取るほど対比的に頭に浮かんでくるのはいつもの場所です。
最終的に旅を終えて残ってくるものは新しい刺激よりも、これまでの経験を見つめ直して新たに気づいたものの方が多いように感じます。
それでは旅の本質とは。
旅について突き詰めていくとその場所は特別な場所ではなく、今自分がいる場所であることに気づきます。
そして思いを馳せるのは外の世界ではなく、自分自身の内側に広がる世界であると思います。
このように旅は物理的なものではなく非常に精神的な要素の強いものであると考えます。
移動や観光はあくまで旅のきっかけであり、旅の本質は「自分自身との対話」であると思います。
自分自身を見つめ直し、自分の本質に立ち返ることができればそれこそが旅そのものとなります。
旅の場所は今自分がいるところであり、その本質が自分自身であるならば、旅とは人生そのものであると思います。
しかし自分が何気なく生活している際の気持ちの持ちようで今この瞬間は観光にも旅にもなり得ます。
限られている時間の中、折角ならば自分は自分の時間を旅したい。
日常を非日常のように生活し、自分の時間を精一杯楽しみたい。
改めてこの一年を振り返ってみると、試行錯誤してきた日々は少しずつ旅の形をしてきているように感じます。
この一年間はその目的地を山内というブランドに引っ張ってきてもらいました。
この先もう一つ成長するためには自分の目的地を持ち、そこへ辿り着くための創意工夫が必要になってくると思います。
ギャラリーでは23-24awが立ち上がり、アトリエでは24ssの制作が始まりました。
新たなシーズンへ向けてブランドも動き始めています。
今後も皆様が楽しめるような動きを計画中です。
随時情報の方も発信致しますので、是非ご注目いただけましたらと思います。
作 / 倉員